概要 | ご案内 |
小児感染症センターは、子供たちに関連する感染症に特化して、医師、看護師、薬剤師、検査技師から構成される多職種の専門家チームによって運営されます。感染症疾患は、産まれる前の胎児からあらゆる世代の子どもに対して、基礎疾患の有無に関わらずに罹患する病気です。子供たちの健康を守るために、小児感染症に対する診断、治療、および予防、小児感染症診療の教育啓発、小児感染症の研究推進に焦点を当てています。
小児感染症の専門家のチーム
- 感染症に関する専門家から成る多職種のチームで構成されます。小児感染症医、微生物専門家、検査技師、感染対策看護師、薬剤師などが協力して、各部署からのコンサルテーションを通して最善の医療を提供します。周囲に感染が拡がらないように、感染症患者の隔離や感染対策などの指示も行います。
感染症の診断と治療
- さまざまな種類の感染症に対する専門的な診断と治療を提供します。細菌、ウイルス、真菌、寄生虫などの感染症が含まれます。通常の感染症検査、病理検査などに加えて、PCRなどの遺伝子検査も院内で行える体制になっており、適切な病態解明に努めます。特殊な感染症の検査は、研究機関などと連携して検査を行います。治療方針も主治医と相談しながら、有効性と安全性の高い治療を推奨します。またワクチンなどの予防できるものがあれば、接種のスケジュールなども組み立てます。
感染予防と教育
感染対策チームで院内の感染対策を行い、普段から感染症アウトブレイクが起きにくい医療環境とシステムを作ります。またサーベイランスを行うことによって、感染症アウトブレイクの早期覚知に努めます。アウトブレイクが生じたときは、速やかに封じ込め対策を導入して収束をはかります。職員や地域に感染症予防の教育を行い、人材育成を行います。小児の公衆衛生上も重要な感染対策の予防接種行政にも協力をして、地域の予防接種で問題が発生した場合の医療従事者からの小児の相談や診療の受け皿となります。小児感染症の専門家を養成して、人材を全国に輩出していきます。
薬剤耐性対策
薬剤耐性の微生物の拡がりを防ぎ、抗微生物薬の適正使用によって薬剤耐性の出現を抑制します。世界中で薬の効かない耐性菌が問題となっていて、必要のない抗菌薬は使用しない、使用をするときは適切な選択の抗菌薬を使用することが重要です。地域の薬剤耐性対策の啓発活動では、医療関係者だけではなく、一般の方にもポスターやパンフレットで薬剤耐性問題をわかってもらえるように努めています。
新たな感染症危機への対応
地域や国内での新たな感染症危機が発生した場合、迅速に対応して小児医療における感染対策の指揮を果たします。2020年に国内でも発生した新型コロナウイルス感染症では、小児を含めて多くの感染者を出し、当院は小児の入院診療や重症者の治療において東京で中心的な役割を担いました。今後も新たな感染症、再興してくる感染症などによる公衆衛生的なリスクは、繰り返し生じることが予測されています。感染症のリスクの発生時期は災害と同じで突然、生じるので、普段から感染対策計画と必要な物品を備えています。
(都知事からの新型コロナウイルス対応への感謝状)
感染症研究
最新の医学的知識や技術に基づいた小児感染症の研究を行い、臨床研究部の臨床試験科や遺伝子研究科とも協力して、医学の発展に貢献し、国内外へ学会や学術論文の発表を通して情報を発信します。新薬や新しい診断薬への開発、治験なども推進しています。
国際連携
小児感染症のトレーニングや感染症研究において国際的に連携を行い、感染症診療の質の向上、感染症対策の普及に努めます。特にアジアでは、薬剤耐性、新興や再興感染症など多くの課題を共有する地域であり、連携を深めて相互の発展に寄与します。