アレルギー科 部長 吉田 幸一
【アレルギー科 食物負荷試験の予約再開について】
コロナウイルス感染症対策として、食物負荷試験の予約を一時止めていましたが、6月15日より再開いたします。食物負荷試験をご希望の方は、予約センターより外来診療を予約し、外来にて医師にご相談ください。電話で食物負荷試験の予約はできません。
診療内容
アレルギー疾患を有する子どもたちが増える中、全国でもアレルギー科を設置する小児専門医療施設が増えてきました。当科も東京都立小児総合医療センター設立に伴い新設されました。
アレルギー疾患については日本小児アレルギー学会、日本アレルギー学会がエビデンスに基づく標準治療を示した各種ガイドラインを作成しています。アレルギー科ではガイドラインに沿った治療を地域の医療施設の先生方と協力して進めていきます。
また、アレルギー科では標準治療では対応が困難な難治患者、重症患者を積極的に受け入れています。食物アレルギーでアナフィラキシーをくりかえし園や学校での対応に苦慮しているお子さん、難治のアトピー性皮膚炎で治療が難航しているお子さん、薬物療法をしていてもぜん息発作を繰り返すお子さんなどにも対応しています。
当科は、アレルギー専門の医師と小児アレルギー疾患の専門看護師である小児アレルギーエデュケーターが協力して診察を行っています。
こんな症状のお子さんが対象です
- 食物アレルギー
- 小児気管支ぜん息
- アトピー性皮膚炎
- 新生児・乳児消化管アレルギー
- 食物依存性運動誘発アナフィラキシー
- アレルギー性鼻炎・結膜炎
- ラテックスアレルギー
- 薬物アレルギー
主に取り扱っている疾患、治療内容
食物アレルギー
食物アレルギーで大切なことは、正しい診断に基づく必要最小限の除去、早期の除去解除にむけて食物経口負荷試験による確認、アナフィラキシーを起こしたときの対応です。
当科では、原則として食物経口負荷試験での診断を行い、食物除去を最小限に留め、栄養士の指導で栄養のバランスを整えます。アナフィラキシーを起こす可能性がある場合にはアドレナリン自己注射薬(エピペン)を処方してアナフィラキシー対策を学校、園を含めて考えていきます。
除去食が必要な場合でも、少しずつ食べながら除去を解除していく治療方法も選択することができます(経口免疫療法)。
小児気管支ぜん息 (小児ぜん息)
小児ぜん息の治療は、30年前と大きく変わりました。治療ガイドラインが普及し、吸入ステロイド薬を適切に使用することにより重症化しにくくなり、入院患者も減りました。
当科では、小児気管支喘息治療・管理ガイドライン(日本小児アレルギー科学会作成)に基づいて重症度にみあった治療を行うとともに、お子さんへの指導を重視した診療をおこないます。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、痒みの強い湿疹が良くなったり悪くなったりを繰り返し長く続く病気です。痒みにより睡眠障害、集中力の低下がおこります。
治療の原則は、湿疹のおこる原因をなくし、スキンケアを徹底して皮膚のバリア機能を整え、ステロイド外用薬により皮膚の炎症を抑えることです。
大切なことは、スキンケアを上手にすることと、湿疹がおさまったあとも皮膚のスベスベ・ツルツルを維持するため予防的に軟膏治療を継続することです。当科では、専門看護師(小児アレルギーエデュケーター)による実践的なスキンケア指導を行いながら治療を進めます。
新生児・乳児消化管アレルギー
新生児・乳児消化管アレルギーは、生まれてすぐの赤ちゃんから乳児期にかけてみられる、嘔吐・下痢・血便の原因の一つです。
新生児期早期に発症する重症例では全身管理が必要です。粉ミルクを開始してから症状がでることがあればこの病気を疑います。診断がつけば栄養状態を評価しながら原因食物の除去を行います。
食物依存性運動誘発アナフィラキシー
食物依存性運動誘発アナフィラキシーは小学校高学年から中高生におこる食物アレルギーの特殊なタイプです。
運動時のじんましん、呼吸困難、アナフィラキシーショックで発症します。原因となる食物を食べただけでは症状がでませんが、運動をするとじんましん、呼吸困難が起こります。
当科では、原因となる食物の検査と症状が出たときの対処方法について考えていきます。
アレルギー性鼻炎・結膜炎
アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎は、小児気管支ぜん息やアトピー性皮膚炎に合併することが多いアレルギー疾患です。原因の多くは、ハウスダスト、チリダニ、花粉(スギ花粉、ヒノキ花粉、カモガヤ花粉、ブタクサ花粉、ハンノキ花粉など)、ペットの毛(猫、犬、モルモットなど)です。
当科では、原因となるアレルゲンの検査を行い、原因を避ける生活指導、点鼻薬(ステロイド点鼻)、内服約(抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬)、減感作治療(免疫療法)をおこないます。
ラテックスアレルギー
ラテックスアレルギーは、天然ゴム製医療用具である手袋、カテーテルなどを繰り返し使用している場合に起こる可能性がある即時型アレルギーの一つです。ゴム製品である手袋やゴム風船と接触して、痒みやじんましんが出る場合は注意が必要です。
当科では診断と予防方法について指導します。
食物アレルギー(エピペン®)講習会について
当科では、エピペン®(アドレナリン自己注射薬)を処方された園児や児童・生徒が所属する施設の教職員を対象に、食物アレルギーの緊急時に適切な対応ができるようになるための講習会を開催します。
2024年度は、4回の開催予定です。開催日に合わせて募集期間が設定されております。
参加を希望される施設の代表の方は、「食物アレルギー(エピペン®)講習会のご案内」をご覧になり、お申込み下さい。
なお、お問い合わせは、緊急の場合を除き、メールでお願いしております。
この講習会は、患者様、そのご家族、医療関係者を対象とした講習会ではありませんので、ご注意ください。
⇒ 「食物アレルギー(エピペン®)講習会のご案内」ページはこちら