肺がんに対する治療方針は、肺がんの種類(組織型:非小細胞肺がん、小細胞肺がん)や病期(ステージ)に、患者さんそれぞれの全身状態や年齢、心臓や肺の機能、合併症などを含めて検討され決定されます。
化学療法(抗がん剤治療)は主に病期(ステージ)がIII期・IV期の患者さんを対象として行っています。
III期肺がんでは放射線治療と化学療法を組み合わせた化学放射線療法が第一選択となります。化学療法と放射線治療を同時に行う化学放射線療法と化学療法を行ってから放射線治療を行う逐次放射線療法があります。患者さんの状態や放射線治療の照射範囲などを勘案して適切な治療を提案致します。
IV期肺がんでは化学療法が治療の中心になります。化学療法(抗がん剤治療)は抗がん剤を点滴または内服することにより、がんの進行を遅らせることを目的とした治療法です。外科治療・放射線治療が局所治療と呼ばれているのに対し、薬物療法は全身治療と呼ばれています。点滴または内服によって投与された抗がん剤は、血液の中に入り、血流を介して全身をめぐり、肺のみならず、肺の外に広がった転移巣にも効果が期待されます。
使用する抗がん剤の種類については、肺がんの種類、患者さんの年齢や全身状態によって決められます。当院は、エビデンス(科学的根拠)を重視し、各種ガイドラインに則った治療を行っています。抗がん剤ごとに投与スケジュールや予想される副作用は異なるため、診断や治療法を十分に納得し理解したうえで、治療を始めましょう。治療方針に疑問があれば、主治医に質問することはもちろん、担当医以外の医師の意見(セカンドオピニオン)も聞くこともできます。いつでも担当医にご相談ください。
治療までの流れ
呼吸器内科の外来を受診
肺がんが疑われると言われた方だけでなく、健康診断で異常な影があると言われたなどという方の診療も行っております。紹介状を持参のうえ、ご相談下さい。病理診断のための検査・病期診断のための検査
気管支鏡検査・CTガイド下生検・CT検査・頭部MRI検査・PET検査などを行っていきます。治療開始
点滴で抗がん剤を行う場合3-4週を1コースとして行う治療方法が多いです。
初回治療は入院で導入することが殆どですが、最近では制吐薬などやshort hydration法といった点滴方法の進歩によって外来で治療をできる患者さんも多くなっています。もちろん入院で治療を継続していくことも可能です。入院中の流れ
抗がん剤を投与してから暫く経過を観察し、副作用に対する支持療法を行っていきます。
抗がん剤の副作用には吐き気・倦怠感(だるさ)など治療開始から数日で起こるものから骨髄抑制(抗癌剤の影響で白血球・赤血球・血小板など骨髄で造っている血球が減ること)や脱毛など1-2週間ほど経過して起こるもの、痺れなど比較的時間が経ってから起こるものがあります。概ね治療開始から2週間ほど入院をして退院を目指すことが多いですが、副作用が軽い方は早めの退院、副作用が重く出た方は入院期間の延期をすることもあります。入院後の流れ
多くの治療の場合、化学療法(抗がん剤治療)を継続して行っていきます。1回目の治療の副作用が軽ければ外来で治療を行うこともできます。もちろん入院で治療を継続することも可能です。治療の効果は主にCT検査で判定し、効果と副作用のバランスを考えながら、その都度治療方針を検討していきます。