対象となる患者さんは?
非小細胞肺がんのうち、進行した病期で手術はできないが、放射線治療はできるⅢA期およびⅢB期の一部の方、小細胞肺がんのうちがんの拡がりが放射線治療をかけられる範囲内(限局型)の方。
間質性肺炎などの肺合併症がある方や、全身状態の悪い方、過去に胸部へ放射線照射を行ったことのある方などは、放射線治療ができないこともあります。
放射線療法と化学放射線療法の違いは?
化学放射線療法とは、化学療法と放射線治療を同時もしくは続けて別の時期に行う治療のことです。
放射線治療の適応となる方のうち、年齢や全身状態で化学放射線併用療法が行えないと判断される方に対しては、放射線単独での治療を行います。腫瘍の大きさや広がりの関係から同時化学放射線療法を行えないと判断した場合には、先に化学療法(抗癌剤治療)を行ってから続けて放射線治療を行う方法をとることもあります。
その他、症状緩和を目的とした放射線治療や早期の肺癌の方に対しての定位放射線治療もありますが、それらについては放射線治療部のページをご覧ください。
ここからは、おもに74歳以下で全身状態のよい方を対象とした化学放射線同時併用療法についてご説明します
具体的な治療のスケジュールは?
化学療法(抗癌剤治療)と放射線治療は、一般的には同じ日もしくは連続した別の日に開始します。当院では放射線治療は合計60Gy(グレイ)/30回の照射を行うことを基本としています。1週間のうち5日間行うので、全部で6週間の治療期間になります(食道炎などの副作用が強く出た時や放射線治療の機械の点検がある時などは6週間以上かかることもあります)。
抗癌剤治療は3-4週間を1コースとして合計2コースないし合計4コースを目標として行います(治療のスケジュールは担当医とご相談下さい)
治療の副作用は?
皮膚炎・食道炎・肺臓炎といった放射線治療の副作用と、骨髄抑制(白血球減少、貧血、血小板減少)や消化器症状(吐き気、食欲低下)といった抗癌剤の副作用が起こることがあります。白血球数の減少や食道炎などの副作用は、化学療法と放射線療法を同時に行うとより強くでるとされています。治療に際しては日常生活に加えて軽い作業がふつうにできる体力が必要となります。
治療の効果は?
化学放射線同時併用療法は根治を目的とした治療であり、予定された治療が全部できた場合は全体の15~20%の患者さんが根治するとされています。
化学放射線療法は、呼吸器内科と放射線治療科が協力して行う治療です。根治を目的とした治療であり、治療強度を保つことも重要です。副作用は少なくありませんが、できるだけ安全に治療がすすめられるようスタッフ一同で努めています。