がんゲノム診療連携病院について

 令和2年度4月より、がんゲノム医療連携病院としての新たな挑戦がはじまりました。がんゲノム医療は、がん細胞に生じている遺伝子の変化を調べ、その特性に合った標的治療薬(効きやすいと考えられる薬)の選択に加え、有望な臨床研究や治験をどこで受けられるのかについて探索する個別化医療のひとつです。従来からあるがん種ごとの治療法では完治が難しい患者さんが対象となります。病院に保存されている固形がん(白血病のような血液がんとは異なり塊を形成するがん)を用いて、数百におよぶがん関連遺伝子を搭載したパネル検査(がん遺伝子パネル検査)により遺伝子の変化を一括して調べます。得られた複数の遺伝子の変化は、がんの発育を抑える効果が期待できるかについて、専門家会議(エキスパートパネル)で慎重に討議されたのち、治療法を選択し患者さんに説明します(図)。また、これらの過程で、生まれつきがんになりやすい体質(がんの素因)が患者さんに疑われることがあります。この場合、遺伝情報が家系内で共有されている可能性もあるため遺伝カウンセリングで対応します。家系内への影響、がん予防医療の実現性について、個別に検討されます。当院では、新たに遺伝診療部を立ち上げ、医師、看護師、薬剤師、がんゲノム医療コーディネーター、認定遺伝カウンセラー、事務職などの多職種が連携し、がんゲノム医療を円滑に運用するための診療体制を整えました。小児がんをもつお子さんに最善の薬物治療を届けるためのチーム医療を強化してまいります。

がんゲノム医療の概要