概要
チームオンコロジーについて
多摩総合医療センターはがん診療連携拠点病院に指定されており,専門的ながん医療の提供,地域のがん診療の連携協力体制の整備をおこなっています。特に原発不明がんや希少がんでは,様々な検査を行なってもどの診療科が担当するべきかが決まらないなどの問題もあり,診断や治療に難渋するケースが多いことが課題です.
当院では,がんの診療を専門とする様々な診療科医師による「チームオンコロジー」を組織し,原発不明がん・希少がんの診療に取り組んでいます。また,「原発不明がん希少がんセンター」にて地域の医療機関からの診療のご依頼を受け付けております。
原発不明がん・希少がんは治療法に関するデ-タが少ないため,当院ではがん遺伝子パネル検査を積極的に実施し,その結果に基づいた治療方針の検討を臓器横断的に行っています。
原発不明がん・希少がんとは
原発不明がんとは,「十分検査したにもかかわらず原発巣(がんが最初に発生した場所)が不明で転移巣のみがわかっている悪性腫瘍」のことです。おおむね全悪性腫瘍の1~5%とされています。
また,希少がんとは「人口10万人あたりの年間発生率(罹患率)が6例未満の悪性腫瘍」と定義され、各臓器の肉腫や中皮腫、神経内分泌腫瘍、脳・眼などの腫瘍など200種類近い悪性腫瘍が該当し、個々の希少がんでは全悪性腫瘍の1%にも満たない稀な腫瘍です。
原発不明がん希少がんセンターについて
原発不明がん希少がんセンターは,原発不明がんや希少がんの患者さんのほか,がんの診断や治療で難渋する患者さんの診療・セカンドオピニオンを行うことを目的として,地域の医療機関からの患者さんの紹介を受け付けています。
がん研究会有明病院総合腫瘍科部長の高橋俊二先生,東京都立広尾病院前副院長の前田義治先生をはじめ,当院のチームオンコロジーに所属するがん診療のプロフェッショナルが担当します。
がんゲノム医療・がん遺伝子パネル検査について
がんゲノム医療は,がん細胞に起きている遺伝子の変化を調べ,患者さん一人ひとりの特徴に合わせた治療を行う医療で,そのために行う検査をがん遺伝子パネル検査と呼びます。しかし,全ての病院でこの検査が実施できるわけではありません。当院はエキスパートパネル可能ながんゲノム医療連携病院に指定されており,チームオンコロジー・ゲノム診療科で協力してがん遺伝子パネル検査を実施しており,地域の医療機関の患者さんの検査も行っています。
がん遺伝子パネル検査を保険診療として行うためには一定の条件を満たすことが必要です。当院では,地域の医療機関でがん治療を行う患者さんを対象に,検査の詳しい説明を行うことや実際に検査を受けられるかどうかのご相談をお受けする目的で「がん遺伝子パネル検査セカンドオピニオン外来」を行っています。