感染症内科
主に成人感染症の診断・治療を行っています。第1種感染症指定医療機関及びHIV感染症の拠点病院に指定されています。
2019年から世界的に大流行しているコロナウイルス感染症(COVID-19)に、国内発生早期から対応しています。
診療内容
コロナウイルス感染症への対応
2020年1月末、中国・武漢からのチャーター便受け入れから当院のCOVID-19対応が始まりました。その後、ダイヤモンドプリンセス号、クラスター発生施設、東京都入院調整本部などからの患者を受け入れ、2021年9月までで確定患者1800名あまりを診療しました。
当院のCOVID-19診療の特徴
- 軽症~重症患者に対応
COVID-19患者の増加に伴い、COVID-19診療チームは感染症内科医がリーダーとなり、内科系・外科系から派遣された応援医師で診療体制を構築しました。感染症患者専用病棟では血液透析を行う事ができるため、血液透析の必要なCOVID-19も受け入れました。重症患者は救命救急センターや集中治療科の医師と協力し、集中治療室にて人工呼吸器管理、ECMO管理を行いました。
またCOVID-19患者ケアにかかる看護師の人員配置には看護部の協力が、患者数の報告、本部との連絡調整、院内の感染対策実行には事務部門の協力が不可欠でした。 - 小児患者に対応
年齢や重症度に応じて小児科と協力し診療を行いました。 - 妊婦患者に対応
総合周産期母子医療センターとして、産科・新生児科と協力し妊婦COVID-19患者の受け入れや確定患者/疑似症患者から出生した新生児の対応を行いました。 - 地域との連携
COVID-19の治療が終了し、感染対策が不要になったにもかかわらずリハビリなどで入院の継続が必要な患者は、いわゆる墨田区モデルで地域の病院へ受け入れていただきました。
通常診療対応
感染症法で規定されている1類、2類、3類、4類、5類感染症を含めて、広く成人の感染症の診療に対応しています。
海外で感染し日本へ帰国後に発症する輸入感染症(典型的なものとして、デング熱やマラリア)や感染性腸炎、食中毒、水痘、流行性耳下腺炎、風疹、麻しんなど多くを治療しています。
他の医療機関で診断がつかない不明熱で感染症が原因のこともあり、不明熱で紹介される患者さんも診察することがあります。
特色
輸入感染症
他の医療機関で対応しづらい輸入感染症の診療を得意としています。海外旅行者数の増加や、旅行先として発展途上国を選んだり、現地の人と同じ環境に身を置くような旅行を選択するなど、旅行内容の変化により、輸入感染症の患者さんは増加しており、しかも、その疾患内容も変化しております。残念ながら、このような輸入感染症に対応する医療機関の数は限られています。都立墨東病院感染症内科はそのような輸入感染症を得意分野としております。なかでも、マラリア、腸チフス、パラチフス、デング熱、コレラ、赤痢などの診療経験が豊富です。
HIV拠点病院
HIV感染症の拠点病院であり、HIVの患者さんを受け入れています。
主な医療設備
- 1類及び2類感染症用の陰圧対応病室(全10室)
- 外来の陰圧対応診療室
その他、感染対策の需要が高まり、下記のような機材を導入し、院内の感染対策に活用しています。
- 陰圧テント(感染拡大を防ぐために、ベッドの周りに設置)
- 紫外線照射装置による殺菌(部屋全体に紫外線を照射して殺菌消毒をします)
学術活動・臨床研究
「エムポックス診療の手引き 第1.0版」 について
感染症内科部長・中村ふくみが研究代表者を務める、「サル痘に関するハイリスク層への啓発及び診療・感染管理指針の作成のための研究」(令和5年度新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業) の成果の一部として、令和5年12月26日に「エムポックス診療の手引き 第1.0版」が発行されました。当院感染症内科医師も研究協力者として執筆に関わっています。
エムポックスは国内で低レベルの感染伝播が続いています。また東南アジアでの患者数増加が報告されています。本手引きはエムポックスに関するより良い医療と正しい情報の提供に役立つと考えます。
地域とのつながり
輸入感染症は診療可能な医療機関が少ないため、成田空港検疫所からの紹介も含めて積極的に受け入れるようにしています。
また、離島や感染症が流行するおそれのある被災地への医師派遣も積極的に行っており、その活動は国内外から評価されています。
関連情報
2024年11月25日 最終更新