眼科

駒込病院 眼科
都立駒込病院 眼科 川口 龍史

患者さんへのメッセージ

私たちは3センチにも満たない眼球という小さな器官が持つ精巧な機能によって、「見えること-光を感じる喜び」を享受しています。皆さんが目にする世界は、いろいろな波長の光が角膜、瞳孔、水晶体を通り抜け、それを網膜が刺激として感じ、その信号が視神経から後頭葉の視覚野に伝わり認識されたものだと言われています。このように奇跡的な発達を遂げた私たちの視覚器官は、ちょっとしたことでバランスが崩れ、その働きが下がってしまいます。私たち眼科スタッフの役割は、皆さんが元々持っている視覚器官の働きを守り、その機能を引き出すことではないかと考えています。

近年の医療技術の進歩は、目覚ましいものがあります。眼科領域の検査機器は、眼球に隠されている数ミクロンの病変を描き出すことができ、様々な疾患の早期診断に役立っています。手術機器も飛躍的に進歩し、失明に至る網膜剥離に対しても、注射針のような細い器具を用いる低侵襲の硝子体手術が普及しています。また、各種メディアで報道されているように、現代医学の最先端である再生医療や遺伝子治療も、そう遠くない将来に臨床応用されるだろう、と予測されています。しかし、どんな最新の医療技術を駆使しても、視機能の低下によって視覚障碍となる方が、日本には約31万人存在するというのも事実です。

私たちは、地域医療を支える近隣の先生方と協力し、皆様に安心していただける眼科診療が提供できるよう、長年にわたって日々取組んで参りました。それと同時に、当院に来院される方には、がんと闘いながら生活を送る方がたくさんいらっしゃいます。「がんの苦しみがあろうとも、自分らしく生きていきたい」-そのような患者さんの「光を感じる喜び」を守りたい、それが私たち眼科スタッフ一同の願いです。

「医療を通して人がその人らしく生き抜くことを支援する」-当院の理念をもとに、私たちは日々の眼科診療に励んでいます。

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