患者さんへのメッセージ
健康診断や人間ドックで「蛋白尿が出ています。」とか「腎臓の機能が落ちています。」なんて言われると、びっくりしてしまいますし、急に心配になる方も多いと思います。以前は今ほど腎臓病に対する関心が高くなかったので、検査で異常値が出ていても「まぁ、このくらいなら問題ないだろう。」と放置されてしまうことも珍しくありませんでした。しかし、そのような患者さんの中には5年、あるいは10年経つうちに腎機能が大幅に落ちてしまう方が少なからずいらっしゃいます。残念ながら腎臓は後戻りがない臓器なので、一度失われてしまった機能を取り戻すことは原則的に不可能です。でも、あまり心配しないで下さい。そんな風になってしまうのは、それこそ何もせずに放置された場合であって、適切に対処すれば大抵の方は将来的に透析に入ることはありません。近年は、腎臓病を治す力はないにしても、進行を遅らせることができる「腎保護薬」とも呼ぶべき薬も実際の診療で使われ始めています。健診で異常を指摘されたり、あるいは腎臓病を疑わせる症状や症候が出た場合は一人で悩まずに、まずはかかりつけの先生に相談し、必要があれば当科を紹介してもらって下さい。「治ります。」とお約束することはできませんが、何らかの対処法は見つかると思います。是非、一度、相談してみて下さい。