診療科のご紹介
目標
成長していく子どもに対する手術は、身体に対する負担が少なく安全であるとともに、生涯保証する成績が大切と考えます。そのためには、心と体の成長発達を配慮した医療にも心がけます。
特色
1. 高度専門診療
(呼吸器外科)
気道外科が当科の特徴の一つです。先天性気管狭窄症に対応可能な数少ない施設であるため、北海道から九州に至る全国から患者を受け入れています。救急・集中治療部が搬送、周術期の集中管理を行い、心臓血管外科、麻酔科、呼吸器科、循環器科、CEと連携して手術を行っています。声門下狭窄症に対しては耳鼻科、呼吸器科と合同で検査・治療を行っています。
先天性囊胞性肺疾患(先天性肺気道奇形・気管支閉鎖症等)に対する肺葉切除・肺区域切除は、患児の体格や病変の部位等を勘案し、完全胸腔鏡下または胸腔鏡補助下に行っています。必要な患者さんには出生当日であっても緊急で肺切除を施行しています。
当院は小児がん拠点病院であり、肺・縦隔・胸壁腫瘍も対象となります。完全胸腔鏡下手術での低侵襲手術からECMOや人工心肺を使用した手術まで行っています。
一般的な原発性自然気胸については成人医療施設でも加療されますが、当科ではECMO治療中など特殊な状況下の続発性気胸に対する手術や気管支鏡治療にも対応しています。
胸郭変形も対象です。漏斗胸に対してはNuss法を原則としていますが、Ravitch変法も施行しています。鳩胸の保存的治療・手術にも対応しています。
このほか超低出生体重児の横隔膜ヘルニアや乳児難治性乳び胸に対するリンパ管造影・胸管結紮術等、一般の小児外科施設や呼吸器外科施設では対応困難な重症患児の治療にも積極的に取り組んでいます。
先天性気管狭窄症・呼吸器疾患
(小児外科)
鎖肛・ヒルシュスプルング病
胆道閉鎖症
悪性腫瘍
頸部、胸部、腹部、骨盤などに発生する様々な固形腫瘍に対する手術(生検・腫瘍摘出)を担当しています。血液腫瘍科、放射線科、病理科を中心としたチームを作り、カンファレンスを経て化学療法、放射線療法を組み合わせた集学的治療に取り組んでいます。
対象疾患:神経芽腫(後腹膜、縦隔、骨盤など)、小児肝腫瘍(肝芽腫など)、横紋筋肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫、胚細胞性腫瘍(卵巣、精巣、後腹膜、縦隔、骨盤、仙尾部など)、胸膜肺芽腫、気管支原発悪性腫瘍、卵巣原発悪性腫瘍など
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2.日帰り手術(PDF 46.7KB)の推進
鼠径ヘルニアの手術では、日帰り手術(PDF 46.7KB)を推進しています。ご両親と共に外来から直接手術室に入り、日帰りに適した全身麻酔をかけて手術を行います。傷は1.5cm程度で、手術時間は15~20分くらいです。手術後はご両親と共に日帰り入院用の病棟で3時間ほど休憩して帰宅となります。年間200例程の症例数です。痛みなど体の負担は少なく、母子分離を避けてお子様のこころの負担も軽減できるメリットがあります。
(腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術は通常の方法に比べて体の負担が大きくなるため、1~2泊の入院で行っています。反対側の発症を防いだりおへその形成が同時にできたりといったメリットもありますので、病状やご希望に応じて対応しています。)
3. 救急医療
救急外来では、24時間救急患者を予約なしに受け入れ、総合診療科、救命救急科が初期対応します。外科的疾患であれば、速やかに外科系と連携します。3次外傷に対しても外傷チームを組織して迅速に対応しています。
東京都三次救急基幹施設「子ども救命センター」として、他の医療機関で救命治療が困難な外科系、内科系患者を受け入れています。
救命救急科、集中治療科が協働しドクターカー、ヘリコプターを運用した搬送とPICU管理を行い、外科チームも連携して救命治療にあたります。
4.新生児外科
周産期センターとして、隣接する多摩総合医療センター産科、当センターの新生児科・外科が密接に連携して、適切な母体・胎児管理から出産後の新生児治療にスムーズに繋げています。
院外出生に対しても、24時間365日ドクターカーでの新生児救急搬送を行っています。外科的疾患の可能性がある場合は、迅速に対応します。
5.内視鏡下手術の推進
身体に対する負担が少なく、キズの小さな胸腔鏡・腹腔鏡手術を積極的に取り入れています。急性虫垂炎(PDF 69.8KB)、ヒルシュスプルング病(PDF 96.4KB)、肥厚性幽門狭窄症、気胸、漏斗胸(PDF 160KB)、嚢胞性肺疾患、縦隔腫瘤、鼠径ヘルニア、胃食道逆流症、食道裂孔ヘルニア、脾腫、胆石など、年間200例以上に施行しています。
6.障がい児に対する外科治療
当センターでは、障がい児に対する療育医療を地域で診ていくことを目標に、「多摩療育ネットワーク」をたちあげました。
外科チームはQOLを向上させる手術(胃食道逆流症防止手術、胃瘻造設術、気管切開、喉頭気管分離、腕頭動脈離断など)を施行しています。
7. チーム医療の推進
最良の医療を提供するためには、一つの診療科の力では限界があります。当センターでは外科系各科とのチームワークが良いことが特徴です。
漏斗胸(PDF 160KB)、臍ヘルニア(PDF 88.2KB)では形成外科、喉頭・声門下狭窄では耳鼻いんこう科、呼吸器科、気管狭窄では集中治療科、心臓血管外科、呼吸器科、循環器科、麻酔科、臨床工学技士、二分脊椎症では泌尿器科、脳外科、整形外科、総排泄腔・膣異常では内分泌科、精神科、泌尿器科など各専門診療科と連携してチーム医療を推進しています。
8. 精神発達に配慮した診療体制
こころの専門部門と連携し、子どもの発達に応じた子どもへの外科治療の説明、準備(プレパレーション)や診療計画を心がけています。
外来について
外科外来 月・火(第2・4)・木・金曜日の午前中に初診・再診外来を開いています。
鼠径ヘルニア・臍ヘルニアの初診は木曜日の午後にも受け付けています。
専門医制度と連携したデータベース事業(NCD)への参加について
国内で行われている医療の現状を把握し医療の質の向上に役立たせるため、全国の手術・治療情報を登録し、集計・分析するプロジェクトが始まっております。何卒趣旨をご理解の上、ご協力賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
こんな症状のお子さんが対象です
小児外科は以下のように、頭からつま先までの幅広い外科治療を行っています。中でも呼吸器と消化器の病気が中心です。
頭頚部、口腔
正中頸嚢胞、側頸瘻、梨状窩瘻、リンパ管腫、血管腫、舌根部嚢胞、舌小帯短縮症、甲状腺疾患、声門下狭窄
胸部
先天性気管狭窄症(PDF 490.2KB)、漏斗胸(PDF 160KB)、嚢胞性肺疾患(PDF 103.2KB)、気胸、膿胸、食道閉鎖、食道狭窄症
横隔膜
横隔膜ヘルニア、横隔膜挙上症、食道裂孔ヘルニア (胃食道逆流症)
胃、小腸
胃破裂、肥厚性幽門狭窄症(PDF 322KB)、十二指腸閉鎖、腸回転異常症、腸閉鎖症、腸重積症、メッケル憩室、腸管重複症、壊死性腸炎、胎便性腹膜炎
大腸
鎖肛 (直腸肛門奇形)(PDF 313.5KB) 、総排泄腔・膣異常、ヒルシュスプルング病(PDF 96.4KB)、二分脊椎に対する排泄管理手術、急性虫垂炎(PDF 69.8KB)、潰瘍性大腸炎、腸管ポリープ
肝、胆、膵
胆道閉鎖症(PDF 309.6KB)、先天性胆道拡張症(PDF 354.1KB)、胆石症、門脈圧亢進症、脾腫、膵疾患、脾疾患および血液疾患 (ITP、球状赤血球症など) に対する脾臓手術
鼠径部・精巣
そけいヘルニア(鼠径ヘルニア)(PDF 370KB)、陰嚢水腫(PDF 370KB)、停留精巣
腹壁・臍
臍ヘルニア(PDF 88.2KB)、臍帯ヘルニア、腹壁破裂、臍腸瘻、臍肉芽腫
腫瘍
神経芽腫(後腹膜、縦隔、骨盤など)、小児肝腫瘍(肝芽腫など)、横紋筋肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫、胚細胞性腫瘍(卵巣、精巣、後腹膜、縦隔、骨盤、仙尾部など)、胸膜肺芽腫、気管支原発悪性腫瘍、卵巣原発悪性腫瘍など
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外傷
腹部・胸部交通外傷、熱傷、気管・消化管異物