心臓血管外科
特色
心臓血管外科では、当院の総合病院としての特性を活かして、心筋梗塞治療後、人工透析中、糖尿病、慢性肺疾患等の合併症がある患者さんの手術が可能です。他院で治療に難渋されている方もご相談下さい。現在、患者さんの負担の少ない低侵襲手術を中心に、新しい手術方法も積極的に取り入れています。
また、2021年より集中治療科が設立され、より複雑、重症な患者さんの対応が可能となりました。
患者さん及びご家族の希望を伺いつつ「最適かつ最新な治療方法」を提示・提供致しますので、お気軽にご相談ください。
当科の紹介
胸部心臓血管外科は2011年4月より新体制でスタートし、2018年4月より更なる診療体制の充実を目的に心臓血管外科、呼吸器外科が各々独立しました。
心臓血管外科は、関連した循環器科、呼吸器内科、麻酔科、放射線科、腎臓内科、輸血科の医師や臨床工学技師、診療放射線技師、臨床検査技師、専門的な知識と経験を持った看護職員など、総合的な能力が必要とされる診療科です。
学会認定修練施設
- 外科専門医修練施設 (基幹施設)
- 心臓血管外科専門医修練施設 (基幹施設)
- 脈管専門医修練施設 (基幹施設)
学会認定専門医・指導医資格
・心臓血管外科専門医 ・修練指導医 ・循環器専門医 ・外科専門医
・救急科専門医 ・脈管専門医 ・胸部外科学会指導医
・周術期経食道超音波検査認定医 ・臨床修練指導医(外国人医師の指導)
基本方針
- 24時間対応
救命救急センター、ER、循環器科と連携して急病や急変に対応します。 - 安全で質の高い医療
総合病院の利点を活かし、各科の協力により患者さん個々に最適かつ最新の治療法を選択します。 - 医療連携
手術後は、原則としてご紹介いただいた病医院での治療・経過観察の継続をお願いしています。
対象疾患
心臓弁膜症に対する手術
心臓の中は4つの部屋に別れており、それぞれの部屋の出口で扉の役割をするのが弁です。この弁がしっかり閉まらなくなると逆流(閉鎖不全)を起こし、狭く(狭窄)なると血液の流れが悪くなります。症状は、息切れ、胸痛、咳の持続(特に夜間)、下肢のむくみ、不整脈(脈の乱れ)などです。手術では、自己弁を修復する方法(形成術)と人工弁に取り替える方法(弁置換術)とがあります。
1)大動脈弁に対する手術
高齢化社会に伴い、大動脈弁狭窄症の方が近年増えています。当科では、従来からの人工心肺をもちいた大動脈弁置換術に加えて、患者さんの負担の少ない経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)を開始しました。診断、治療は循環器内科ハートチームと合同で行います。適応となる患者さんには制限がありますので外来にてご相談ください。
手術方法(TAVI)
人工心肺を使わず、カテーテル内に収納された人工弁を大動脈弁の位置に留置します。多くの場合、足の付け根(鼠径部)からカテーテルを血管内に挿入します。留置した直後から人工弁は自分の新しい弁として機能します。
2)僧帽弁に対する手術
僧帽弁逆流では、自分の弁を温存する弁形成術を第一選択に行っています。
右開胸による低侵襲心臓手術(MICS)も行っております。
僧帽弁後尖からの逆流に対する弁形成術
大動脈瘤(胸部・腹部)に対する手術
大動脈瘤とは心臓から血液を送る大動脈の一部が異常に膨らんだ状態(瘤:コブ)で、場所によって胸部大動脈瘤と腹部大動脈瘤とに分けられます。原因の大半は、動脈硬化と高血圧です。大動脈瘤は通常は無症状で、大部分はCT検査などで発見されます。一般的には大動脈瘤の径が5cm位になったところで手術します。大動脈瘤が5cmを超えると破裂の危険性があり、破裂した場合、救命が困難なため瘤が破裂する前の手術が必要です。安全性、根治性を最優先に考え、ステントグラフト挿入術、人工血管置換術を選択しています。
胸部大動脈瘤に対するステントグラフト挿入術(術前・術後)
虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)に対する冠動脈バイパス手術
冠動脈は心臓に酸素や栄養を送る血管です。冠動脈が動脈硬化などで狭くなって酸素不足が生じると狭心症となり、閉塞すると心筋への酸素供給が途絶して心筋梗塞となります。通常は内科での内服薬投与やカテーテル治療が有効ですが、重症の場合には外科手術(冠動脈バイパス術)が必要になります。手術方法は、心拍動下(人工心肺非使用)のバイパス手術を標準術式としています。
動静脈グラフトを用いた冠動脈3枝バイパス術
急性大動脈解離に対する手術
血圧の急激な上昇に伴って、突然の胸部痛や背部痛で発症する病気です。大動脈の内側の壁が縦方向に裂ける(はがれる)ため、大動脈は2層(真腔と偽腔の2腔)に分かれます。致死率が非常に高く、心臓に近い部分が裂けた場合は緊急手術が必要です。当院は東京都区東部(墨田、江東、江戸川)で唯一の急性大動脈スーパーネットワーク緊急支援病院として、24時間対応可能な体制をとっています。
その他の心臓血管疾患に対する手術
不整脈(心房細動)に対する手術
脈がまったく不規則となった状態で、心不全や脳梗塞の原因となります。内服薬やカテーテル治療も有効ですが、持続する場合には外科治療(メイズ手術)や左心耳切除等の成績が良好です。心臓弁膜症に合併した場合には、同時に手術します。
その他の心臓血管疾患に対する手術
肺塞栓症、成人先天性心疾患、心臓腫瘍 、心臓血管損傷(外傷)、血管の切除を要する各種腫瘍などにも対応しています。
末梢血管疾患(慢性および急性動脈閉塞)に対する手術
カテーテル治療(経皮的血管形成術)や血管バイパス手術を行っています。
外来
外来は予約制となっておりますので、患者さんは電話で予約をすませてから受診いただくようお願いいたします。専門性の高い治療を迅速に提供できるように、ご紹介状の持参をお願いいたします。
セカンドオピニオンについても随時受け付けております。予約センターで予約をお取りください。
外来日:火曜日、金曜日(初診、再診)
*弁膜症外来(毎週金曜日午後):循環器科と協同
担当:心臓血管外科(偶数週)、循環器科(奇数週)
心雑音や息切れがあり精密検査を希望される方の受診も可能です。
主な医療設備
- 人工心肺装置(2台)
- 経皮的心肺補助装置
- 大動脈内バルーンパンピング
- 体外式人工心臓(施設認定)
地域とのつながり
- 大動脈瘤ステントグラフト治療実施施設
- 経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)実施施設
- 急性大動脈スーパーネットワーク緊急支援病院
関連診療科・部門
2022年12月26日 最終更新