都立病院人材育成ビジョン
第1部 第3章
部門(職種)別の人材の確保、育成・活用に向けた取組の方向性
11 事務部門
事務部門全文
概要
○ 事務職は、病院運営の「要」として、基礎的な事務処理能力、知識はもとより、医師等の専門職種とも同じ土俵で議論できる様々な専門知識を身に付ける必要があります。また、チーム医療を推進する一員として、頼りにされる存在となるだけでなく、積極的な提言を行い、院長のマネジメントを補佐することも求められます。
○ 近年、医療制度の複雑化等を背景に、病院の事務職には、これまでの正確・迅速な事務処理というだけでなく、病院の意思決定に必要な経営情報の収集・調査・分析・ 立案など、戦略的でより高度な業務遂行が期待されています。
○ 事務職の主な業務内容は、以下のとおりです。
- 【企画・計画・広報】
- 病院の意思決定に必要な経営情報の収集・調査・分析と経営戦略の立案、中期経営計画・年度計画や方針の策定及び経営会議の運営などの経営企画業務
- 予算・決算や資金管理などの経理・財務業務
- ホームページや SNS なども活用しながら病院の医療機能や取組を戦略的に発信する広報業務
- 各種委員会(医療安全、防災、感染対策、がん対策等)における企画・運営支援
- 予算や議会、都の政策、評価委員会などに関する東京都との調整業務
- 【ICT(情報システム)】
- 電子カルテシステムや業務システムの管理に加え、医療における DX の推進
- 【人事・総務】
- 職員の入退職・異動・服務などの人事管理、人員計画の作成、様々な職種の採用、教育・人材育成、給与・福利に関する業務
- 労働基準法などの各種法令への対応、職場環境の維持・向上、公的病院として必要なコンプライアンス意識の醸成や対応などの業務
- 【物品調達や施設管理】
- 品質やコスト等を考慮した上で、必要な備品や医療機器、診療材料の購入計画の立案・発注業務、施設の維持管理
- 【診療支援・医事】
- 病院の施設基準の届出・管理、入院・外来診療支援、医療に関する請求事務、医療安全・患者サービスに関する業務、各診療科と連携し診療報酬算定の管理・対策に関する新たな企画立案を行う業務
- 【地域連携】
- 地域の医療機関と連携し、紹介・逆紹介を行う業務 等
求められる人材像
○ 「事務職に求められる人材像」、及びそれを実現するための「期待される意識・姿勢と行動」は、以下のとおりです。
<事務職に求められる人材像>
- 患者一人ひとりの立場で業務を捉え、患者のために行動することができる。
- 都立病院の果たすべき役割を踏まえた的確な病院運営及び経営分析・企画を行うため、必要な専門的知識を習得・活用することができる。
- 多職種連携やチーム医療を推進する一員として、相互に理解・尊重し合い、協力しながら仕事を進めることができる。
- 医療環境の変化などに関する情報収集・分析を行い、新たな課題に対しても、積極的にチャレンジすることができる。
- 病院運営の要として、院内全体を巻き込みながら、業務改善や経営改善に取り組むことができる。
- 信頼される都立病院の実現に向け、個人情報保護をはじめとした高いコンプライアンス意識を持って職務に取り組むことができる。
<期待される意識・姿勢と行動>
(一般職員)
- 期待される意識・姿勢
- 事務職が果たすべき役割が変化しているという現状認識
- 社会の要請に応えていくという使命感
- 「自分達の職場は自分達が良くする」という当事者意識
- 真面目に努力している職員への敬意と共感
- 期待される行動
- 安易に前例を踏襲せずに、自ら仕事を良くしようとする行動
- 頑張っている職員への惜しみない協力
- 自ら成長するための努力と、後輩に対する指導・育成
(マネジメント層 (注)部長・事務局長、課長、リーダー)
- 期待される意識・姿勢
- 「病院全体を良くする・持続させる」という強い責任感
- 病院の将来にプラスになるものを残そうとする想い
- 職場の一体感の醸成と職員の能力を引き出そうとする姿勢
- 期待される行動
- 目指すべきビジョンの設定と実現に向けた強いリーダーシップの発揮
- 職員一人ひとりの能力や適性を踏まえた人材育成
- 所管事務に関する深い理解と、職員の仕事ぶりの正しい評価
- ライフ・ワーク・バランスへの配慮とメンタルヘルスマネジメント