検査の内容と、検査時の注意などについて説明しています。
尿を検査するのはなぜ?
尿は腎臓で血液をろ過して作られ、苦痛なく簡単に採取できる検査材料です。尿の中の成分を調べることで腎臓や肝臓、すい臓などいろいろな病気の診断の助けになります。
必要量は検査の内容によって異なりますが、最低25ccくらいあれば検査できます。
尿のとり方
出はじめの尿はとらずに捨て、中間の部分の尿(中間尿といいます)をとってください。生理中の方は尿潜血反応が陽性になりますので、あらかじめお申し出ください。
緊張して焦ってしまうとかえって出なくなってしまうものです。まずはリラックス!どうしても採れない場合には、お声をかけてください。
尿定性検査
定性検査とは、尿の色、濁り、糖、タンパクなどの成分があるか・ないかを調べます。
健康な人の尿は、淡黄色で濁りがありませんが、たくさん汗をかいた時などは濃縮して濃くなります。また、飲み物や薬によっても色が変化します。
- ビタミンBがたくさん入っている健康ドリンクのような飲み物を飲んだときには、黄色い蛍光の尿になります。
- ビタミンCは一部の検査の結果に影響が出ますので、注意が必要です。
尿糖
糖は腎臓で再吸収されるので、通常尿には出ません。尿糖が陽性に出る代表的な病気は糖尿病です。また、胃の手術を受けた方や腎臓病・妊娠などでも尿糖が陽性になることがあります。
尿タンパク
通常は尿中に出ませんが、健康な人でも運動した後などに、一時的に少量出てしまうことがあります。しかし、タンパクが常に出ているときには、腎臓の病気を疑います。
尿潜血(せんけつ)
尿潜血とは、‘尿の中に潜んでいる血液’ということです。
目には見えないごく微量の血液(赤血球やヘモグロビンという赤い色素のもと)が尿中に存在しているかを調べる検査です。腎炎や結石、また腎臓やぼうこうなどの病気で陽性になることがあります。病気以外でも生理中では陽性になることがあります。
尿沈渣(ちんさ)
尿の顕微鏡検査
尿中の有形成分を顕微鏡で観察する検査です。腎臓や尿管、ぼうこうなどの病気の補助診断や、治療効果の判定に役立てられます。
妊娠反応検査
妊娠すると、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(HCG)(なんだか難しい名前ですね)というホルモンが胎盤で産生されます。
このホルモンは尿中に出てきますので、尿を検査して、妊娠しているかどうか判定できます。最近薬局などでも簡単に手に入るようになった妊娠検査薬も同じ原理です。
便の潜血(せんけつ)検査
便の潜血(せんけつ)検査とは、便の中に目には見えないごく微量の血液が混入していないかを調べる検査です。胃や腸の中で出血があるかどうかをみる事ができます。
以前は検査する前に食べてはいけない物や注意事項がありましたが、現在の検査法では、食事制限の必要がなくなりました。ただし、洗浄剤の入っているような水洗トイレをお使いの方は、水洗の水に触れないように採取してください。
また、痔核を患っている方は痔の出血によって反応が陽性になりますので、主治医にお伝えください。
虫卵検査
便の中の寄生虫卵を顕微鏡で観察する検査です。昭和40年頃は便の検査といえば寄生虫卵検査が主流でしたが、上下水道の発達により、当時よりかなり減ってきています。しかし、皆無ではありません。
海外で上下水道の発達していない国で生活をしていたり、よく洗わないで野菜を食べた場合などは便の中に寄生虫卵を見かけることがあります。