検査の内容と、検査時の注意などについて説明しています。
細菌とは
私たちの周りには肉眼で見ることのできない、いろいろな生物(微生物)が存在しています。微生物はその大きさや構造などから、細菌やカビ(真菌)などに分類されます。細菌は1つの細胞からできていて、生物学的には非常に原始的な生物です。
その形状はいろいろで、球状(球菌)、棒状(かん菌)、らせん状(らせん菌)などがあります。
細菌とヒトの関係
ヒトの皮膚や口、鼻の中、消化管などには多くの細菌がいます。細菌はヒトに病気を起こす原因になりますが、一方では、腸の乳酸菌ように悪い細菌が進入しないように防波堤の役割をしたり、増殖しないようにしてヒトの身体を守っている場合もあります。
私たちは環境や身体の中にいる様々な種類の細菌とバランスをとりながら生活していますが、そのバランスが崩れるとからだに害を及ぼす(感染症を起こす)ことがあります。
バランスが崩れる原因は、
- (O157による食中毒など)外部から有害な菌が進入したとき
- 何らかの原因により体力や、免疫力が低下したとき
などがあります。
細菌検査とは?
病気をひき起こしている原因の細菌を見つけ、どんな薬が効くかを調べる検査です。
検査の流れ
(1)検査材料の採取
細菌検査では症状によりいろいろなものが検査材料になります。
- 例)膀胱炎のとき →尿
- 下痢・腹痛のとき →便
- せき・のどが痛いとき →たん
- 化膿したとき →うみ(膿)
(2)病気の原因となる細菌を育て、性状を調べる検査
”培地”
細菌が増殖するために必要な栄養がたくさん含まれている寒天です。
(3)どんな薬が効くかを調べる検査
細菌検査は病気の原因となる細菌を上手に育て、どんな薬が効くのかを調べることが重要な仕事です。細菌が成長するまでに早いもので1~3日、遅いものは8週間かかるものもあります。
検体のとり方
患者さま自身に採っていただく機会が多い“たん”と“尿”について説明します。
【たん】
(1)うがいをして、よく口の中をゆすぐ。
むし歯になることからもわかる通り、口の中にはたくさんの細菌がいます。それらが混ざってしまうと正確な検査が出来なくなってしまいます。
(2)胸の奥の方からたんを出すような気持ちで強くせき払いをする。滅菌された容器にたんを採る。
注意!!
細菌は生き物なので室温に置いたままにしておくと増えてしまい、正確な結果が出なくなります。
【尿】
出はじめと終わりの尿は採らずに、中間の尿を滅菌された容器に採ります。
ぼうこうの中には本来細菌はいないので、尿中に細菌が見つかると感染を起こしている可能性があると考えられます。しかし、尿の出口付近には数種類の細菌が存在しています。これらの菌が混ざらないように尿を採ることが重要です。