(小児)ボツリヌス毒素の膀胱内局所注入療法について(2020年06月30日)

2020年06月30日

 都立小児総合医療センターではこのたび、脳や脊髄などの神経が原因で、膀胱に十分な尿をためることができなくなったり、適切なタイミングで排尿するのが難しくなったりしている状態の患者さんに対して、下記のとおり先進医療1を実施します。

1 目的

 小児の神経因性排尿筋過活動による膀胱機能障害に対するボツリヌス毒素の膀胱内局所注入療法は、ボツリヌス菌が作り出すたんぱく質であり筋肉の活動を抑える作用があるボツリヌス毒素を膀胱内に注入することで、尿失禁の回数の減少や膀胱に貯められる尿が多くなる効果が期待されている治療です。今回、臨床試験の第1相試験2としてこの治療を実施し、ボツリヌス毒素の推奨用量を決定することを目的としています。

 なお、ボツリヌス毒素による治療は、既にまぶたや顔のけいれん、斜視、尖足などで痙攣の症状や痛みを抑えるために行われています。

2 臨床試験名

  小児の神経因性排尿筋過活動による膀胱機能障害に対するボツリヌス毒素の膀胱内局所注入療法の第1相試験

  詳しくは「jRCTs031190132」で検索してください。

  https://jrct.niph.go.jp/latest-detail/jRCTs031190132(外部リンク)

3 臨床試験実施医療機関

  都立小児総合医療センター

4 治療対象

  治療対象は、以下の全てに該当する方です。

 (1) 5歳以上18歳未満の方

 (2) 器質的脊髄病変によって、神経因性排尿筋過活動のある方

 (3) 自己導尿を開始して3ヵ月以上経過しており、13回以上の自己導尿を行っている方

 (4) 1日2回以上の尿失禁エピソードが週5日以上ある方

 (5) 1種類以上の抗コリン薬内服で症状が抑えられない方

 ※ 上記以外にも基準があるため、詳細は小児総合医療センター(臨床研究支援センター)までお問合せください。

5 期待される治療の効果等

 本治療により、症状が改善して、尿失禁が減る、薬の減量・中止が期待される上、手術療法(膀胱拡大術)をせずに、腎臓の機能を保てる可能性があります。一方、処置に伴う尿閉、尿路感染症や、頭痛などが報告されています。

6 目標症例数

  最大12

7 実施期間

  令和2年7月1日から令和4年3月31日まで

8 先進医療にかかる費用

 本治療にかかる薬剤は、企業から無償提供を受けます。その他、本治療は入院して全身麻酔で行うため、処置にかかる費用は患者さんの負担となります。

※1 先進医療:国民の安全性を確保し、患者負担の増大を防止するといった観点も踏まえつつ、国民の選択肢を拡げ、利便性を向上するという観点から、保険診療との併用を認めることとしたものです。
※2 第1相試験:少数の健康な患者を対象として、治験薬を用い、好ましくない副作用がないか安全性の評価を行います。

<参考資料>(小児)ボツリヌス毒素の膀胱内局所注入療法について.pdf(PDF 165.3KB)

【問合せ先】

都立小児総合医療センター 臨床研究支援センター 

電話 042-300-5111(代表)

2020年度