3月1日～3月8日は女性の健康週間
10月18日は世界メノポーズデーです
更年期、それは誰にでも訪れる自然な変化です。しかし、年齢を重ねることに不安を感じる人も少なくありません。
女性にとって更年期は人生のターニングポイントであり、そこを上手に乗り越えることが、その先の人生をより楽しく生きる秘訣なのではないでしょうか。
今回は、更年期の症状や治療法について、東京都立大久保病院婦人科の高田淳子部長にききました。
都立大久保病院
婦人科部長
高田 淳子
注目情報大久保病院 | 東京都立病院機構 (tmhp.jp)
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更年期とは
更年期とは、閉経前の5年間と閉経後の5年間を併せた10年間をいいます。日本人の平均閉経年齢は約50歳なので、平均的な更年期は45歳くらいから55歳くらいまでと考えることができますが、閉経を迎える時期は個人差がありますから一概にはいえません。
また、閉経時期をいつと考えるかですが、月経が12か月以上来ない場合に、1年前を振り返ってその時点を閉経とすることになります。
更年期にみられるつらい症状
閉経の5年前くらいから卵巣の機能低下がみられ、女性ホルモン（エストロゲン）が減少していきます。女性ホルモンの減少に伴いさまざまな症状を感じるようになりますが、症状の感じ方についても個人差が大きいといえます。
加齢によるホルモンバランスの変化は性別に関係なく起こりますが、男性ホルモンに比べて女性ホルモンの減少はジェットコースターのような急激な下降カーブを描きます。女性ホルモンは更年期といわれる約10年間で急激に減少するため、ホルモンバランスが乱れ、不快な症状が現れやすくなります。
更年期の代表的な症状には以下のものがあります。
ほてり・ホットフラッシュ・多量の汗など
これらは血管運動神経症状といわれるもので、血管が開いて熱を放出するときに起こるものです。「冬でも汗がどっと噴き出す」「カーッと顔が熱くなる」などと表現される症状です。
めまい・頭痛・肩こり・冷えなど
これらの症状は更年期に特化したものではないため、女性ホルモンの低下が直接の原因ではありませんが、更年期のつらい症状として多くの人が感じています。
不眠・イライラする・気分の落ち込みなど
更年期にはメンタルにかかわる症状で悩まされることもあります。
ほかにも閉経後には高血圧症、脂質異常症などの生活習慣病、骨粗鬆症などの発症頻度も高くなります。
更年期以降に注意すべきヘルスケア
更年期に伴うつらい症状は、年齢的な変化であって病気ではありません。だからといってつらい症状をそのままにしているのは、日常生活にも仕事などの社会的な生活においてもパフォーマンスを低下させ、ますます「つらい」と感じることが増えてしまうかもしれません。
更年期に伴う症状で、著しくパフォーマンスが低下する、日常生活に支障が及ぶような場合には更年期障害の治療を検討しましょう。お近くの婦人科のクリニックや女性医学を専門にしている病院などを受診して相談してみるとよいでしょう。
また、それほどつらい症状に悩まされてはいないが、何かしら不安を感じている人も受診をしてみましょう。
更年期障害の治療のうち、ホルモン補充療法（HRT）は、減少した女性ホルモン（エストロゲン）を補充するものです。ほてりや発汗などの症状に対して有効であると考えられています。副作用に不正出血や乳房の張り、下腹部の張りなどが起こることがあります。その場合は医師に相談しましょう。
ただし、以下の条件に該当する場合、HRTを受けることはできません。
HRTを受けることができない条件
- 重度の活動性肝疾患
- 現在乳がんである、過去乳がんだった
- 現在子宮内膜がんである、低悪性度子宮内膜間質肉腫である
- 原因不明の不正性器出血がある
- 妊娠中、妊娠の可能性がある
- 急性血栓性静脈炎または静脈血栓塞栓症になったことがある
- 心筋梗塞または冠動脈への動脈硬化性病病変になったことがある
- 脳卒中になったことがある
日本でHRTを受けている人は欧米に比べると少数です。これは、HRTによって乳がんのリスクが高まるといったことが過去にいわれていた影響だと思いますが、現在ではHRTによってリスクが上昇するということはないと考えられています。
更年期障害の治療にはHRT以外にも漢方薬による治療、落ち込みや不眠などに対しては抗精神病薬や睡眠導入剤などが使われることがあります。
薬による治療を行わなくてもカウンセリングを受けただけで気持ちが軽くなるということがありますので、つらかったり不安だったりしたら一人で悩まずに受診してください。
ドクターからのメッセージ ～次のステップへうまく着地するために
一般的に更年期といわれる時期の女性は、ホルモンバランスの乱れ以外にも、家庭では子育てがひと段落する、親の介護が始まる、仕事では責任のある地位に就くなどと公私ともに大きな変化が起こりやすいといえます。
先ほども説明しましたが、女性ホルモンは更年期に入ると急激なカーブで低下します。その急降下をどう乗り越えるかがこの時期には大切です。更年期から老年期へうまく着地してもらい、そのあとの人生を楽しく歩んでもらうためにお手伝いしたいと思います。
更年期障害の治療によって若返ることはありませんが、つらい症状を改善することで現在の自分を受け入れ、次のステップへと元気に歩んでいただけるようになるのではと思っています。
ホットフラッシュや急な汗が心配で外出を控えたり、気分が落ち込んで好きだったことも楽しめないということになったら、それはもったいないです。最近は80代、90代でも活躍しているかっこいい人が増えてきました。目標とする人生の先輩を見つけ、生き生きとご自分の人生を歩み続けてほしいと思います。
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最終更新日：令和7年3月4日