2月1日はフレイルの日
2024年7月に、厚生労働省から日本人の平均寿命が発表されました。男性81.09歳、女性87.14歳です。
一方、健康寿命は、男性が72.68歳、女性が75.38歳となっています。
平均寿命と健康寿命には、男女とも約10年の差があるということになります。
健康寿命とは、健康上の問題がない状態で、日常生活が制限されることなく、自立して生活をおくれる年齢のことを指しています。
つまり、介護や支援を必要とせず、他の人の助けを借りずに生活できる年齢のことです。
この健康寿命をいかに延ばし、平均寿命まで元気に生活するためのキーワードが「フレイル」です。
今回はフレイルについて、都立病院のリハビリ部門より解説します。
フレイルとは?
フレイルとは、年をとることで体や心の力が弱くなり、生活が不便になったり、介護が必要になりやすい状態のことです。
健康な状態と、介護が必要な状態の、中間にあたる状態を、フレイルと呼んでいます。
フレイルを理解するためのポイント
- 健康と要介護の間の状態であること。
- 身体的・精神的・社会的な、多面的要素を含んでいること。
具体的には、筋力が落ちて転びやすくなる身体的問題、物忘れや気分の落ち込みが続くといった、認知・心理・精神的な問題、人付き合いの減少や経済的困窮といった社会的問題です。 - 可逆性がある(きちんと対策すれば元に戻ることができる)ということ。適切な対処によって予防や改善ができます。早めに気づいて対処することが大切です。
フレイルのチェック方法
フレイルはさまざまな面で評価します。
ここでは代表的なチェック方法を紹介します。
① 「日本版フレイル基準」
5つの基準のうち、3つ以上当てはまればフレイル、1つか2つならプレフレイル、いずれも当てはまらなければ健康と判断されます。
② 「指輪っかテスト」
筋肉量が減少(サルコペニア)している状態かを確認します。
両手の親指と人差し指で指輪っかを作るようにして、利き足ではない方のふくらはぎの最も太い部分を囲んでみましょう。
ふくらはぎのほうが太く指で囲めない、またはちょうど囲める場合は筋肉量が「十分~まずまずある状態」と考えられます。反対に、指とふくらはぎの間にすき間ができる場合は、筋肉量が「減少している」可能性があります。
③ 「イレブンチェック」
栄養状態や運動習慣、社会性などを評価します。
1、2の項目でどちらも「はい」と答えた方は、しっかりと食習慣を意識している方です。「いいえ」があった場合は栄養が不十分な可能性があるため、もう少し食事に気を配るようにしましょう。
3~11の9項目中、青色の回答が6個以上であれば筋肉量を維持できている可能性が高い状態です。反対に0~5個の場合は、筋力の低下や健康面への影響が懸念されます。
皆さんいかがでしたか
これらの評価はあくまでも簡易的なものですが、フレイルの兆候に早めに気づくことが大切です。フレイルかもしれない?と思った方は、ぜひ積極的に予防に取り組みましょう。
フレイルの予防
フレイルは、社会とのつながりを失うことが最初の入口となり、生活の質を落とすだけでなく、生活範囲やこころの健康、口腔機能、栄養状態、身体機能までもが低下をきたし、ドミノ倒しのように進行、重症化していきます。しかし、早めに対策を行うことで元の健康な状態に戻る可能性があります。
予防のポイント①
「メタボ対策」から「フレイル予防」へ栄養の見直し
高齢期のBMI(注)は、中年期以前とは異なり、少し高めの方が、栄養状態や総死亡率の統計からみてもちょうど良いことがわかってきました。
65歳以上では、BMI21.5~24.9の範囲を目標として、低栄養(BMI 20以下)に陥らないよう意識することが大切です。
「メタボ対策」から、しっかり食べて栄養状態を保つ「フレイル予防」に考え直してみましょう。タンパク質の摂取量が少なくなると、筋肉量が減少し、加齢とともに筋タンパク質の合成も遅くなるため、高齢期での食事にはより一層タンパク質を含む食品をとることが大切です。
(注)BMI:体重と身長から人の肥満度を示す体格指標
予防のポイント②
身体活動、今より10分多く体を動かしましょう
何もしないと筋肉は衰えます。タンパク質を含んだ食事をとり、定期的な運動によって筋力が衰える現象(サルコペニア)の進行を遅らせることが大切です。ちょっとした運動でも継続して行うことで死亡リスクを下げることができます。筋力の低下を防ぐことで、転倒・骨折で寝たきりになるリスクも軽減されます。
予防のポイント③
社会活動に参加しましょう
人との関わりが少なくなると、フレイルの入り口に立ちやすくなります。自分に合った活動を見つけて、積極的に社会に参加しましょう。
しっかり食べて、体を動かして、みんなと一緒に活動することで、フレイルを予防しましょう!
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最終更新日:令和6年12月5日