4月20日は 腰痛ゼロの日

腰痛は、多くの人が悩む問題です。国民生活基礎調査によると、男性の身体症状で最も多いのは「腰痛」、女性は「肩こり」や「腰痛」が調査年度により変動していますが、男女を合わせた身体症状では腰痛が最も多く、65歳以上では4人に3人が腰痛で苦しんでいると言われています。
今回は、「腰痛」について、都立病院のリハビリ部門が解説します。

腰痛の分類
ひと言で「腰痛」といっても様々です。腰痛は大きく分類すると次の3種類です。
① レッドフラッグ

見逃してはいけない腰痛
悪性腫瘍の転移、感染、骨折、内臓疾患など
②足の神経症状(しびれ、神経痛)を伴う腰痛

腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症など
③ 非特異的腰痛
神経症状を伴わない腰痛。85%がこのタイプで、検査や診察をしても目立った異常がなく、原因が特定しづらい腰痛。
筋性腰痛、ぎっくり腰など、2~6週間で自然に治ることが多い。

▢ 以前から腰痛がある |
▢ 立ち上がる際に激痛が走る |
▢ おじぎができない |
▢ 後ろに反らせられない |
▢ 布団から起き上がるのがつらい |
▢ 支えがないと歩くのが痛い |
▢ くしゃみをすると腰が響く |
腰痛の注意すべきポイント
尋常ではない痛みがあるときなどは、整形外科以外の病気が潜んでいるかもしれません。
また、足が動きにくくなったり、足の感覚がどんどん鈍くなるようなときは、手術が必要となるかもしれません。以下のようなレッドフラッグサイン(警告症状)がある場合には、医師に相談しましょう。
▢ 発症年齢20歳以下、55歳以上 |
▢ 胸部痛や背部痛を伴う |
▢ 時間や活動強度に関係なく痛みが続く |
▢ 背中の変形を伴う |
▢ 体重減少や栄養不良を伴う |
▢ 腰部の激痛に加えて発熱を伴う |
▢ 広範囲の下肢のしびれ、筋力低下、麻痺のある場合 |
▢ がんやエイズ治療中、ステロイド内服中 |
腰痛予防のための普段のこころがけ
腰痛の85%を占める「非特異的腰痛」。この場合は、普段からこころがける姿勢、筋肉トレーニング、ストレッチが重要になってきます。
まずは普段の自分がどういう状態なのか、確認することが必要です。
①姿勢

まっすぐ立てていますか?
良い姿勢は腰痛予防の基本です。
②歩行

きちんと歩けていますか?
後ろ足はつま先で地面を蹴るようにしましょう。
前傾姿勢で歩いてはいませんか?
歩幅は狭くありませんか?腰痛の予防法
運動や体操で腰痛を防ぐ
慢性的な腰痛に悩んでいるときには、整形外科的な原因以外にも、心理・社会的な要因がかかわっていることもあります。
痛みを感じたとき、痛みを避けようとしたり、恐怖や不安を強く感じたりすると、過剰に安静をとったり、活動量が減ったり、うつ状態に陥ることがあります。その結果、さらに痛みがさらに感じられるようになり・・・と悪循環が起きてしまいます。

逆に、20歳以下の子供では腰痛は滅多にありません。ただし、深刻な腰痛がある場合は、運動のやりすぎで骨に繰り返し負担がかかり、疲労骨折(腰椎分離症)を引き起こしている場合があります。腰椎分離症は、適切な時期にきちんと治療しないと、後に後遺症が残ることがあります。背中を反らしたり、腰をひねる動きが多いスポーツ(野球など)では注意が必要です。フォームが悪かったり、体が硬いために起こる場合があります。
腰痛予防の体操
腰痛予防のために体を動かすことは大切ですが、いくつかの基本的なポイントを守りながら行いましょう。
- 痛みがあるときは無理せず、運動を控える。
- 無理して全てをやろうとせず、できる範囲で続ける。
- 毎日少しずつ行う。
- すぐに効果を求めず、数か月単位で成果をみていく。
- 20分運動したら小休止をとり、コップ一杯の水を飲んで脱水を予防する。
- 心臓の病気がある人は運動が可能かどうか主治医に確認する。
- 時間、回数の目安として、ストレッチは15~20秒を2~3回、体操はゆっくり10回を1セットとして、無理のない範囲で1日3セットを目安に行う。
ストレッチ例
① おしりの筋肉のストレッチ

息を吐きながら、片足を抱えて膝を胸に近づけましょう。おしりや腰が伸びるところで、呼吸しながら伸ばしましょう。
② 背中と腰のストレッチ

おへそを覗き込むように両足を両方の腕で抱え込みます。腰から背中が伸びたところで、呼吸しながら伸ばしましょう。
③ 足の付け根のストレッチ

片膝は立てて、反対の足は後ろに引き膝を床につけます。ゆっくり腰を床に落としたところで、呼吸しながら伸ばしましょう。
④ 背中のストレッチ 背骨を丸める

両手を組んで前に突き出し、おへそを覗き込むようにして、背中を丸めます。肩甲骨や背骨を伸ばしましょう。
⑤ もも裏のストレッチ

⑥ 腰そらし

肩幅より広めに、つま先をまっすぐ前に向けて立ちます。両手をベルトより下のおしりに当て、膝を伸ばしたままじっくりと胸を開きながら両肘を内側に寄せ、骨盤を前に押し出すようにします。
ただし、おしりから太ももにかけて痛む場合はやめましょう。
⑦ 腹筋

両膝はまげて足裏は床につきます。
鼻から息を吸ってお腹を風船のように膨らませます。口から息を吐いて、お腹に力を入れて吐き切ります。
10回繰り返しましょう。
⑧ 大腿四頭筋

両膝は曲げて足裏は床につけます。
かかとを重心にしてゆっくりとおしりを上げていきます。
肩~腰~膝がまっすぐになるのが理想ですが、無理のない範囲で行います。おしりを上げたところで2~3秒止め、その後ゆっくり下ろします。
10回繰り返しましょう。
腰痛予防のまとめ
普段の動作と生活習慣が重要です。
動き
普段繰り返される動作が腰痛に影響を与えます。
重いものを持ち上げるときは体に密着させて重心を低くして、足の力で持ち上げましょう。
カバンを持つときは一方向に偏らないようにしましょう。
椅子
ソファなど柔らかな座面は体が沈み込んで背中が丸まった姿勢になります。時々ストレッチをしたり、固めの椅子に腰かけるなど工夫しましょう。
運動
運動は習慣化していきましょう。運動量が減ると体重増加にもつながり、腰への負担も増えていきます。
ストレス
不安などを抱え込みストレスが増すと、正しい姿勢を保ちにくくなります。背中が丸くなり、腰部の負担が増えてさらに痛みに過敏になることがわかっています。気分転換をしたり、過ごす環境も整理整頓されているとストレスが軽減していきます。
最後に
腰痛は多くの人が経験する問題です。
原因や予防法を正しく理解して、腰痛を予防していきましょう。
正しい姿勢とストレスをため込まないこと、そして日々の体操を習慣化することで、腰痛予防のみならず、すべての健康にもつながります。
無理せず力まず、毎日続けていきましょう。
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最終更新日:令和7年3月21日