2000年1月号 微笑み初め

2000.1月号

 西暦2000年明けましておめでとうございます。「歯科のコラム」は本号で丸4年、48ヶ月連載です。本年もよろしくお願いいたします。
 連携だよりの原稿締め切りは月末です。締め切りの2日前には原案を書き上げます。原稿用紙3枚が目標ですが、言いたいことが沢山あり、原案はいつも 400字近く超過のてんこ盛りです。残りの数日で余分な表現、くどい言い回しなどをそいでゆきます。ワープロに出会ってから、文章の書き換え、添削が一瞬 にできるようになり、書くことが好きになりました。ビールを飲みながらの本コラム添削作業は、私の至福の時間であります!

 新春第1号はお正月向きのお話を3つご紹介いたします。

 その1・中国語研究会;昨年、今年そして来年度と卒直後研修医は教えがいのある、優秀な人に恵まれております。いずれも 社会に出たばかりの“まじめちゃん”です。
当科の市川医長は友人との付き合いを大切にする上に麻雀が嫌いではありません。勝負のある時は「中国語研究会に行きます」と言って帰ります。初代研修医 の木村さんは、「市川先生はあんなに忙しいのに、夜には語学の勉強もなさっている。中国語はペラペラに違いない。」と一年近く、尊敬の眼差しで見送ってい たそうです。「××の毛まで抜かれないように!」と私が励ますのはなぜだろう、と思ってはいたようです。この頃の学生さんは麻雀をしなくなりました。私などは、勝負には流れがあることを家一軒分の授業料で思い知ったものです。

 その2・桜の花びら;去年、桜満開の頃に患者さんからお手紙を頂きました。便箋を取り出したら、桜の花びら(紙製)がこぼれ落ちました。良い先生を紹介してくれてありがとうという内容でした。住居近くの連携医へ逆紹介した患者さんからでした。楚々とした若い女性患者の風貌を桜の花びらで思い出し、その日は一日中良い日でした。
かかりつけ医を家の近くに持つことは歯科では特に必要です。地域の先生方に診ていただける患者さんは極力逆紹介をお願いしております。私費治療もあるた め、逆紹介は歯科には馴染まないのではないかと当初は危惧いたしました。しかし、「荏原から頼まれたからには下手はできない。」と意気に感じて下さる先生 方ばかりで、私の知る限りでは苦情は一件もございません。逆紹介を受けていただければ、我々が診るべき患者さんへ、より力を注ぐことができます。各地で連携医制度が発足しておりますが、当院の副主治医・逆紹介制度はユニークであるとの声を聞きます。逆紹介をお願いした節は、どうかご協力下さい。

 その3・山の神操縦法;山姥と私は同い年で、どちらが主導権を取るか毎日がせめぎ合いでありました。何とか相手の心理を読んで先手を取り、思うがままに手玉に取ってやりたいといつも夢想しておりました(過去形)。精神科の土井医長は見るからに賢そうで、おっとりした風貌の方です。ある時、「先生のように相手の心理を推し量るお仕事の方は、奥様の気持ちも上手にくみ取られるから、ご夫婦円満でしょうね?」と山の神操縦の極意を尋ねました。たった5秒の簡潔な答えが私の目から永年の鱗を落としました。「佐野先生、女性に勝とうと思ってはいけません!」各科が雑居している当院の 医局は、その道の専門家の技と経験に触れられる有り難い職場であります。

P.S.:既にご案内したように仰臥位で撮れるパントモ装置がございます。撮影ご希望の節は当科か連携室へどうぞ。

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