2011.1月号
当科開設以来のモットーの一つは「急患即応」ですが、急を要する患者さんは主に口腔外科的対応を必要とする方が多く、確実な診断と的確な応急処置が求められます。外傷では止血処置から縫合などの創傷治療、急性炎症では切開排膿処置・抗生剤の投与などの消炎処置、激烈な歯の痛みを訴える患者さんには可及的速やかに除痛を図ることが必要となります。若い歯科医師は、これらの症例を先輩と共に対応することで経験を重ね、知らず知らずのうちに知恵と度胸が身についてきます。
ところで、突然いらっしゃる患者さんは、このように切羽詰まった方ばかりではありません。来院理由のトップはやはり智歯(親知らず)関連ですが、次点は基礎疾患をお持ちである患者さんの歯科治療です。心疾患、脳血管障害をはじめ肝疾患、糖尿病、感染症など歯科治療に際し注意を要する疾患は多岐にわたります。これらを把握し現在のコンディションを評価するためには、自分たちの知識では判断できないことも多く当院の医科の先生方にはいつも助けていただいております。総合病院であり院内他科との連携がとりやすいことが、この点で非常に有利に働いています。救急患者さんと異なり、個々の患者さんの過去のエピソード、現在の加療状況などをよくお聞きした上で歯科治療が始まりますが、ここで強調しておきたいことですが治療内容としては齲蝕の治療や義歯の作製など、ごく一般的な修復治療技術が求められているということです。
前半で述べましたような口腔外科領域と、有病者歯科の両方をカバーできることで、当科は他施設にない特長を持っています。「歯科・口腔外科」としてこれからも(可能な限り)地域の皆さま、診療所の先生方の良きサポーターを目指していきたいと考えております。どうぞ今年もよろしくお願いいたします。
(注)1月31日(月)に恒例の歯科連携懇親会を開かせていただきます。週初めでありますが多数の先生方のご参加をお待ちしております。