2015年3月号 CAD/CAMシステムを利用した口腔外科治療

2015.3月号

 先日、レントゲンにて下顎の約1/3の大きさの透過像を認める80歳の患者さんが当科に紹介来院されました。病理組織検査の結果、エナメル上皮腫の診断でした。エナメル上皮腫は再発の可能性の高い腫瘍であるため、治療は腫瘍を含めた下顎骨の辺縁切除術としました。10年前まではこの手術はCT撮影で大きさや範囲を確認し、切除した後にチタン製プレートを手術中にベンディング(折り曲げ)して顎骨再建を行っていました。しかし現在は、CT画像からCAD/CAMにて3次元立体モデル(実物大臓器立体モデル)を作製し、そのモデルを使用して手術シュミレーションを行います。使用するチタンプレートは、2000以上のCTスキャンデータから得られた下顎の解剖学的形態に成形されたものを使用し、さらに微調整してから手術に望むため、大幅な手術時間の短縮となります。さらに、術後の顔貌の変形といった心配もほとんどなく、患者さんの審美的、心理的負担軽減にもつながります。

立体モデル

 また、デンタルインプラント治療でも予め模型から最終補綴までを予測した模型を作製し、それにあった位置決め用マウスピースを作製してからインプラント埋入位置を決定します。もし埋入部位に骨量が不足していれば、骨再生治療にて回復をはかります。

 口腔内の処置は非常に細かく、視野が限られます。そのためわれわれは、画像処理など最新技術を活用して手術時間を短縮し、かつ安全性の高い手術を行えるようにしています。

 ほかにも様々な最新治療をおこなっています。何かご相談ある場合、どうぞ歯科口腔外科 齋藤までご連絡いただければ幸いです。

歯科口腔外科 齋藤浩人

歯科コラム