2004.4月号
3月11日の夜、毎年恒例の城南7歯科医師会との会合がありました。奇しくも私の50数回目の誕生日でした。ここ数年、パーティー形式の懇親会のみでした が、今年はパーティー前に講演会を企画しました。夜7時からにもかかわらず、会場の第1・2会議室は補助椅子が出る大盛況でした。
講演会では先ず、ここ数年の当科診療実績を私が紹介した後、平成15年度歯科研修医・中野瞳さんが「92歳の高齢者に発生したAdenoid cystic carcinoma(腺様のう胞癌)の一例」と題し、当科の手術症例を報告しました。以前にも触れましたが、当院の医科・歯科研修医は毎年2月、珍しい症例経験を院内発表で講演します。学会形式です。わずか5分の持ち時間ですが、かなり前から皆、準備に大わらわです。この時の発表をわかりやすく、時間も増やして皆さんにご紹介したのです。文献で調べた限り、口腔領域の腺様のう胞癌の手術例としては最高齢でありました。続いて私が最近の外科症例(木から落ちた際、地面に立っていた細い棒がオトガイ部に刺さり、下口唇を貫通して上顎前歯を折ってやっと止まった急患)と昨年3月号でご紹介した血小板減少症のスライドを供覧しました。最後に市川医長がライフワークである睡眠時無呼吸症候群(SAS)の歯科的対応法をわかりやすく紹介しました。SASの歯科的対応は、この4月より健康保険で算定できるようになりました。当院では歯科も含めた関連各科が共同でSASに対応しています。
その後、当院の食堂に会場を移して懇親会となりました。加賀谷院長、各歯科医師会代表のご挨拶、さらに他科の部医長のスピーチなども交えて、あっという間の一時間でした。特にうれしかったのは各歯科医師会の役員の方のみならず、患者さんのやりとりを通じて知り合えた一般会員のご出席が少なくないことでした。まさに「お互いの顔が見える連携」が城南地区で形成されていると感じました。皆さんご存知のように、4月からの健康保険改訂では地域と病院歯科との連携を推進させるよう、さらなる配慮がなされています。
一人でも多くの皆さんとお話するため、用意された料理は全く口にできませんでしたが、このように多くの方々から祝っていただいた誕生日は初めてで、とても幸せな夜でした。医療連携室の皆さん、ご協力ありがとうございました。
次号から、歯科治療中に生命の危機に瀕した患者さんを危ういところで助けた、とっておきの経験をご紹介する予定です。