2009.7月号
先月になりますが、大森歯科医師会館にて新型インフルエンザに関する講演会が催されました。講師は当院感染症内科の角田先生であり、長谷川も新年度のごあいさつを兼ねてお供させていただきました。ご存知の方も多いかと思われますが、荏原病院は明治時代の開院で100年の歴史があります。当初から伝染病の基幹病院となっており、今回の新型インフルエンザやSARS(重症急性呼吸器症候群)などで真っ先に矢面に立つ感染症指定医療機関です。角田先生のお話は非常に簡潔であり、マスコミに惑わされない正しい情報を我々に伝えてくれました。
当日の肝の部分を皆様にお裾分けしたいと思います。来院患者さんに対しては[1]診療所入口を入ったできるだけ身近な場所に速乾性手指消毒剤を設置し、使用していただく。[2]可能な限りマスクをしていただく。(残念ながら処置中は無理ですが)[3]可能であればアポイントメントの間隔を空ける、などです。診療所における対策も同様ですが[1]患者さんごとに手洗い約30秒。(実践してみると結構長いです)[2]シールド付きマスクの使用。(スタッフの方々もサージカルマスク着用が望ましい)この二つがやはり基本です。
印象的だったのはマスクの効用で、空気・飛沫感染の防御もさることながら、汚染された御自身の手指の接触を防ぐことにもなるということでした。
新型インフルエンザも初期症状は季節性と変わりありません。そのため確実な感染防御は困難と思われますが、的確な対応と情報収集によって医療従事者としての責務は果たされるものと考えます。
一般医科の診療室と異なり、歯科では常に血液・唾液との接触が避けられず、汚れた器具を扱い、更に切削作業による汚染浮遊物が発生しやすいという感染対策にとっては過酷な環境です。今回のインフルエンザに限らず、各診療所において感染管理について、常日頃から体制準備を整えておくことが大切かと思われます。