2023.3月号
歯科口腔外科 齋藤浩人(さいとうひろと)
人生100年時代、健康寿命を延ばそうといろいろな取り組みがなされています。歯科においてはアウトカムを低栄養予防とした口腔機能低下症が注目されており、いろいろな食品を適度に食べる事が推奨されています。しかし地域高齢者に対し、ガムを使った咀嚼評価でよく噛めない・噛めると2つのグループに分けて栄養素量を調査したところ、たんぱく質、脂質、鉄、VA、VCで10%以上の差がみられたという報告1)があります。これらを多く含む海藻、野菜、魚、肉類は積極的に取りたい食材であるものの、噛めないことでご飯やうどんなどの炭水化物に偏り、低栄養へのルートを作っている可能性があります。「栄養バランスのとれた食事を」といっても、口から食べて体内にしっかり取り込めなければ話は始まりません。歯科医院において、咀嚼可能な「食べられる口作り」を継続することが、低栄養予防となる第一歩となります。
1)本川佳子:高齢期の栄養ケアー歯科と栄養の連携―、老年歯学 第34号、第1号,2019p81-85
医科の先生方へ
義歯の調整や歯科治療、口腔ケアが患者さんのQOLを回復させるかもしれません。
ぜひ患者さんにかかりつけ歯科医院で定期健診をうけるようおすすめください。