2006.1月号
明けましておめでとうございます
新年早々の話題としては恐縮ですが、アスベストの問題です。われわれの世代は臨床実習で充填補綴物鋳造の際、アスベストリボンなるものを使いました。気になっていたら案の定、7月末の朝日新聞に「歯科技工士さん、アスベスト被害か?」との記事が出ました。何か胸部周辺がもやもやします。
さて、来年度から一人前の歯科医師になるには6年間の教育を受け、国家試験に合格した上で、さらに1年間の臨床実習を受けなければならなくなりました。
当科の研修医へは例年多数の応募があります。来年度の研修医選考は9月に行いましたが、この研修義務化に伴い、応募者は例年のほぼ2倍の24人!にの ぼってしまいました。皆、甲乙付けがたい優秀な人達ばかりで辛い選考でした。
今までは応募した人の中から当院が独自で合格者を決められましたが、来年度採用者からは歯科も合否にマッチングシステムなるものが導入されます。詳しく 説明しますと、受け入れ側は応募者を選考し、順位をつけて歯科医師臨床研修マッチング協議会というところに提出します。学生も自分の行きたい研修施設に希望順位をつけてここに提出します。受け入れ側、応募者の希望順位1位が合致すれば(相思相愛)、めでたく縁組み成立となります。しかし、学生が本当は当科を希望していても倍率が高いので弱気になり、希望順位1位とはせずに2位以下とした場合、こちらがその人を一番に想っていても、学生の希望順位優先で採用できないのです。昔、テレビで「フィーリングカップル5:5」というお見合い番組がありましたが、これと似ています。
われわれの頃と比べて近頃は国家試験も非常に厳しくなりました。マッチングが成立しても国試不合格になると、受け入れ側は補欠合格者を探すのに大わらわとなってしまいます。他の都立病院でそのような例が発生しました。
国が定めた1年の義務研修期間中は、安心して研修できるよう、せめて経済的に最低限の保証はしてあげて欲しいものです。やる気のある賢い若者が、数多く歯科界を志してもらいたいです。
幸い都立病院の歯科は来年度からは研修期間が2年に延長され、じっくりと研修医を育てられるようになりました。縁あって当科で学ぶようになった研修医には、「ここの一員になって本当によかった!」と思ってもらえるよう、「自分に甘く他人に厳しい」われわれ常勤3人が徹底的にかわいがります。
P.S.1:
クインテッセンス出版の月刊誌「歯医者さんの待合室」12月号に当科が8頁に渡り紹介されました。
機会がありましたらご覧ください。
P.S.2:
東京都国保審査会へレセプト審査にゆくようになり、平成18年で12年目となります。
昨11月に国民健康保険中央会から審査員10年の表彰状と記念品をいただきました。
荏原病院に赴任できたことを含め、社会に対する視野が抜群に広がったこの11年でした。