2022年7月号 抗菌薬は何を使用していますか??

 口腔外科では歯性感染症の治療または術後感染予防の目的に抗生剤を使用する機会が非常に多いと感じています。昨今、世界中では薬剤耐性菌の増加が問題となっており、その対策として厚生労働省から薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2016年)が示され、全国的に抗菌薬の使用を見直す動きが出ています。

 昔は優れた抗菌スペクトラムを持つことから、さまざまな感染症の第1選択薬として使用されていた経口第三世代セフェム抗菌薬について当院でも大きな見直しがありました。経口薬第三世代セフェム抗菌薬は消化管での吸収が20~30%と生物学的利用効率が低く、ほとんどが排出されていることがわかってきました。治療に不十分な低濃度の抗菌薬に細菌をさらすことは、薬剤耐性菌を発生させることに繋がります。

 日々の臨床における抗生剤が適正に行われているのか、見直すきっかけになっていただければと思います。

ガイドライン参照 歯周病患者における抗菌薬適正使用のガイドライン2020(PDF 4.1MB)

歯科コラム