2018.5月号
桜もあっという間に終わり、青葉が清々しい季節となって参りました。
先日、院内の先生から顎が腫れて痛いと言っている患者がいるから見てくれないかと急患が来ました。歯肉が腫れて顎のあちこちからたくさんの排膿を認めました。
今までの経緯を聞くと、夏に抜歯をしてからずっと抜いたところが治らないということです。歯医者では何度も骨粗鬆症の薬を飲んでいないかと聞かれたそうです。抜歯から約4ヶ月、たまたま患者さんは医師にその話をしたところ、先生も『あっ!』と思いました。その患者さんは前立腺癌骨転移に対しゾメタ®を投与されていました。ゾメタ®はビスフォスホネート系薬剤ではありますが、悪性腫瘍の骨転移に対して使われることが多く、注射での投与となります。患者さんにとっては、ゾメタ®の注射は骨粗鬆症の薬でもないし、飲み薬でもないのです!よって、何度聞かれても『骨粗鬆症の薬は飲んでいません‼』という返答になったのです。診断は骨吸収抑制剤関連顎骨壊死。医療側から見たら、すぐにわかることなのに患者さんへの情報の伝え方の難しさを痛感した症例でした。
少し話はそれますが、4月の診療報酬改定で周術期等口腔管理の対象疾患が増えました。今後さらに患者の情報共有のための連携が必要と思われます。
なにかお困りの症例などありましたら、ぜひ当科にご相談ください。2018年度も歯科口腔外科をよろしくお願いいたします。