2017.1月号
「インプラント治療を受け3年以上経った人の40%余がインプラント周囲炎になっている」
昨年になりますが11月8日「いい歯の日」に某国営TV放送が歯科の話題を取り上げていました。細菌が感染することで、インプラント周囲の骨が吸収し、歯周病と似た症状になるというものです。このニュースは学会が行った調査を基にしていましたが、不安を煽るネガティブキャンペーンにならないか心配になりました。インプラントはこれまでに約300万人の人が治療を受けたとみられており、歯を失った場合の治療オプションとして既に確立されたものとなっています。健康保険給付外の治療ですので、治療費が高額になることもあり、良くも悪くも話題になることが多いのですが、従来の治療法の弱点を補う画期的な治療法であることは異論のないところです。しかしながら症例の選択、口腔清掃の状況、咬み合わせ、全身疾患などにより予後不良となることは、天然歯と少しも変わらず、逆に細菌に対する抵抗力は天然歯より劣るとも考えられています。今回のニュースは驚くものではありませんが、インプラントの長所・短所双方を正しく伝え、この治療法を守っていく必要があると考えています。
「成人の約8割は歯周病」
こちらは同じ日の新聞に歯科医師会が掲載した広告で、天然歯に関する厚労省の統計データです。人間の歯は一度しか生え変わらないので、年齢を重ねるに従って歯周病に罹患する傾向は高まりますし、多数の歯が残るようになった現代においては、歯周病の割合は下がりにくいと思われます。学会・歯科医師会が伝えたいところは、インプラント周囲炎、歯周病どちらも症状が進行した場合、元の健康な状態まで回復させることが難しいため、定期的な専門家のケア(メインテナンス)と毎日のセルフケア(歯磨き)が必要ということだと思います。
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新年から堅い話で申し訳ありませんでしたが、本年もどうぞよろしくお願いいたします。来月2月21日(火)に7歯科医師会連携懇親会を開催させていただきます。今回は口腔外科専門医である斎藤先生、柚木先生に思う存分話していただきますので皆さま、お誘いの上是非ご参加ください。