2005.9月号
【その1:公社化】
「来年、荏原病院の歯科がなくなってしまうんですか?」、「佐野・市川・長谷川先生が荏原を辞めると聞きましたが、どこへ行かれるのでしょう?」。最近、このようなお尋ねを患者さんや連携医からいただくことが少なくありません。
デマです!
確かに都立荏原病院は平成18年4月から都の直轄から離れ、東京都保健医療公社に移管される予定です。都と公社からは来年度からも今まで通りであると説明を受けています。来年度以降もこれまで以上にご支持・ご支援を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
【その2:歯科恐怖症外来】
歯科治療の数日前から眠れなくなり、治療台に座るだけで緊張性の発汗をきたし頻脈となる・治療器具が顔に近づくだけで嘔気をもよおす、といった方々を大学時代から手がけて来ました。ジアゼパムやミダゾラムの静脈内投与下に恐怖心を和らげて治療を行うもので、連携医からのご紹介も少なくありません。最近では胃カメラの検査などにも適用されるようになりましたが、痛みを伴うことの多い歯科では30年以上前から行われていたものです。
昨年、当院ホームページに「歯科恐怖症外来始めました」と銘打ったところ、さらに多くの反響がありました。この3月には東京MXテレビから取材を受け、 夕方のニュースで私の顔を含めて紹介されました。視聴率が高いとはいえない地方局ニュース中のわずか3分弱でしたが、「テレビを見た」と数人の患者さんが受診されました。さらに6月、NHK「おはよう日本」から専門外来特集の中で取り上げたいと取材要請がありました。全国ネットニュースです。
大学在籍中の頃、補綴科の助教授(当時)がNHKで「よく噛める入れ歯」の話をしたところ、あっという間に3000人以上の患者さんが殺到したことがありました。
当科が全国的に知られるチャンスではありました。しかし、歯科恐怖症の方々が殺到すれば、他の紹介患者さんへの対応がおろそかになります。怪しげな人物のように、顔にぼかしを入れ音声も変えてインタビューを受け、城南地区の某公立病院歯科としてもらおうか、とも考えました。考えた末に母校の歯科麻酔科を逆紹介しました。7月末に2回放映があったようで、教授から恐怖症の患者さんが激増したとの報告がありました。
ちょっぴり惜しかった気もしますが、これで良かったです。