2019.3月号
寒さも厳しい中、春の気配を感じる美味しそうなイチゴが売られているのを目にするようになりました。
ところで、イチゴをはじめとした果物にアレルギーがある患者さんがいらっしゃいますが、それはラテックスアレルギーとも関係があることをご存じでしょうか?ラテックスアレルギーは皮膚と天然ゴム中のタンパク質が接触することにより皮膚症状を発現し、最悪の場合、アナフィラキシーショックを起こすことがあります。そしてラテックスアレルギー患者の約50%で、果物アレルギーを多く発症することをBlancoらが報告し、ラテックスフルーツ症候群と提唱しました。その理由はラテックスアレルギーの原因物質と似た物質が特定の果物にも含まれているからだといわれています。
当科でも過去に桃、栗、バナナ、イチゴなど摂取後に蕁麻疹や血圧低下、呼吸困難をきたしたことがある抜歯希望の患者さんが来院され、全身麻酔で対応しました。そして手術の際には手術室のスタッフの協力を得て、すべての使用機材をラテックスフリーにして手術にのぞみ、無事、手術を終えることが出来た事例があります。これを機に、手術室ではマニュアルを作成しラテックスフルーツ症候群の患者さんに対し、いつでも対応が取れるようになりました。
現在ではグローブなどもラテックスを含まないものが多くなってきています。皆さまの診療中、果物アレルギーのある方がいましたらラテックスアレルギーも疑って対応する方が安全と考えられます。
歯科口腔外科 齋藤浩人