2023年9月号
歯科口腔外科 齋藤浩人(さいとうひろと)
本人の疼痛の感受性などで抜歯後の痛みの捉え方は様々ですが、「私はドライソケットではないですか?」という質問を受けることがあります。
ドライソケットは、治癒の過程で血餅期に障害を受けることによる骨露出で、強い痛みを伴うことが多くあります。ですので、術後に起こり得る事象の一つとして術前に説明をします。しかし、インターネットで「抜歯」「痛い」と検索すると最上位に色々な歯科医院のサイトの中で「ドライソケットかもしれません」と出てきます。
予防として「うがいしすぎないこと」とどの歯科医院のサイトでも注意していますが、抜歯後の痛みが強く患者さんは不安になって聞いてくることが多いです。実際には、ほとんどの場合、食物残渣が抜歯窩に詰まっていることによる痛みであり、生理食塩水での洗浄、鎮痛剤の投与(感染徴候があれば抗菌薬を投与)で治癒します。それでも強い痛みが残る場合、サージカルパックや抗菌薬の軟膏を填入することでほとんどの場合は治癒します。治癒の悪いときの、再掻爬はあまりおすすめできません。抜歯後のトラブルで解決できない事がありましたら対応させて頂きますので当科までご連絡ください。
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