2024.11月号
歯科口腔外科 齋藤 浩人(さいとう ひろと)
症例は私。ある日、パノラマX線写真を撮影したところ、左下8および周囲像が22年前のレントゲンと大きく異なるレントゲン像に愕然としました。口腔内所見は完全埋伏歯であり、臨床症状もまったく無し。おそるおそる冨江医師に確認してもらったところ、案の定「抜歯『しか』ないですね。」いつもは自分の口から発していて、他人事と思っていた言葉達が自分に向けられていると感じると、なんだか違和感を覚えました。いつもとは違うのは今回ばかりは患者自身がどんな状況であるか、しっかり理解できている所。医師としては説得する必要性がないのは楽だったでしょう。
いざ抜歯。体は緊張でガチガチ。削られているのが歯か?骨か?歯が割れる音は思った以上に響くな・・と、こんな状況でも冷静に分析できるとは、麻酔ってスゴイ。次の恐怖は術後の痛みと身構えていましたが鎮痛剤の偉大さを体感。とはいえ、固いものを食べると傷に触って痛く、数日は咀嚼しやすい食事のみで耐え忍びました。
我が身を削って患者さんの痛みを知った今年の夏の思い出です。
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